2016/10/26

ループス腎炎の未来を見据えて

病院によっては膠原病科もしくは腎臓内科が対応する疾患にループス腎炎がある。
今回JASNにループス腎炎の未来の治療の論文が出ていたので簡単に共有できればと思う。

まず、ループス腎炎に関しては有名なガイドラインが2012年のACRのガイドラインがある。また、2015年のNDTの論文では各ガイドラインに置ける比較を論文として出している。
どちらも一読の価値はある。

ループス腎炎はステロイドが発見されるまでは、5年生存率が17%であった。
ステロイドにより5年生存率が55%に上昇し、その後免疫抑制剤の登場で5年生存率が80%に上昇したと言われている。
ただ、この30年は治療は足踏み状態ではないかと言われている。

現在のスタンダード治療(induction therapy)は下記のようになっている。



このinduction therapyもいろいろな研究がされて成り立っている。ELNT(NIHのサイクロフォスファミドと低用量のサイクロフォスファミドの比較、あまり差はない)、ALMS(サイクロフォスファミドとMMFの比較、3年の長期で見るとサイクロフォスファミドがいい)

また、維持療法に関しても通常3−6ヶ月行う。再発率などを比較している研究は多い。

今回の論文で興味を惹かれたのは、この足踏みの30年でそれを打開するために様々な薬がtrialで進んでおり、特に免疫系統でB cellを抑えるもの(Rituximab、Ocrezulimab、Obinutuzumab、Atacicept、Belimumab)やPlasma cellを抑えるもの(proteasome inhibitor)など色々と開発が進んでるとのことであった。

ループス腎炎は現在でも末期腎不全になり、若年で透析依存になってしまう疾患の1つであり、少しでもそれが打開されればと切に願う。