2016/02/03

Bilateral renal cortical necrosis

 フェロー時代にATNで全く無尿になる最重症をcortical necrosisというと耳学問に教わってそのままにしていたが、それについて調べる機会があった。

 歴史的には産科救急によるもの(大量出血によるショック、羊水塞栓、産じょく期の敗血症、septic abortionなど)として注意すべきものが多かったが、ほかにもショック、重症下痢、TTP/HUSをふくむTMA、APLS、急性膵炎、腎毒性の薬物、腎移植における超急性拒絶反応、不適合輸血、熱傷、蛇毒、マラリア、スズメバチなど幅広い病態でみられる。

 腎生検すれば皮質が死んでいるのがわかるが、壊死がpatchyかdiffuseかをみるのには造影CT(写真、もはや造影剤の影響は関係ないということだろうか)やレノグラムもあるがMRIが使える(T2でlow-intensityになるとか)らしい。超音波で皮質がhypoechoicになるという人もいる。

 さてこの疾患で知りたいのは腎予後だが、現疾患の程度や皮質壊死のextension、尿が早く出てくるか、などによるのではっきりしたことはいえない。ただ大事なことは、こうなったら少なくとも一時的な透析は避けられないし、ちょっとやそっと輸液や利尿剤をつかったって無効で、運が良ければ数週間から数カ月後に透析離脱できたというような人もいるという程度、ということだ。致死的な適応まで待ってあわてて緊急透析しないようにしなければならない。

 いつの誰情報かしらないがeMedicineには「治療しなければ致死率は50%以上、早く透析したほうが予後が良い」と書いてあるので、重症ATNで無尿なら緊急適応がなくてもさっさと見切りをつけて透析したほうがいいのかもしれないが、AKIにおけるearly versus late RRTというのはまた別の話題でcontraversialなのでなんとも言えない。