2014/01/11

UMOD

 Tamm-HorsfallタンパクをRockfellerにいたTamm先生とHorsfall先生が発表したのは1952年(J Exp Med 1952 95 71)。当時の論文を読むと、インフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、New Castle Diseaseウイルスによってこのタンパクが構造を変えることが主に示されている。

 T-Hタンパクが尿路感染症予防の役割を果たしているとかいうまことしやかな噂は、ここから来たのだろうか?根拠はないが、少なくともこのタンパクの異常でおこるMCKD2(medullary cystic kidney disease 2)やHNJF1(familial juvenile hyperuricemic nephropathy 1)で尿路感染症が多いという話は聴かない。

 このタンパクは今ではuromodulinと呼ばれ、UMOD遺伝子がコードしている。その発現はループ上行脚に限定的で(J Clin Path 1969 22 334)、膜タンパクと水溶性(尿中に放出される)のが存在する。Uromodulinが何をしているかずっと謎だったが、GWASをしてUMOD遺伝子のpromoter部位にあるSNPがCKD患者で最も集積していることが分かった(Nat Genet 2010 42 376)。

 では、UMOD遺伝子のpromotorに異常があるとどうしてCKDになりやすいのだろうか?それを動物実験と腎がん患者さんの腎摘標本で調べた論文が最近でた(Nat Med 2013 19 1655)。UMODのtransgenic miceは尿細管円柱が多い(そりゃそうだ)のみならず、salt-sensitive hypertensionになった。

 活性化NKCC2の表在が増えたことと高血圧がフロセミドで相殺されたことから、高血圧の原因はNKCC2によるNa(Clも)再吸収を介したものと考えられた。NKCC2を活性化するSPAK(kidney-specific SPAK)もOSR1も発現が増えていた。

 この論文を読むと、腎前性腎不全でガラス円柱が多いのは、単に尿が濃縮されているだけでなく、腎(ループ上行脚)でuromodulinの発現が増えて体液保持を助けているのではないか?という考えが浮かぶ。実際UMODのプロモーター領域にはglucocorticoid response elementという部位があるから、UMOD遺伝子のストレスホルモンによる制御があるのかもしれない。